7年目の約束

「ほら、英二! 起きて!」

 神様。今日は土曜日です。天下の休日です。
 そんな日に俺は、彼女に手によってにべもなく眠りの海からたたき起こされました。
 神様。これはあまりにも酷な仕打ちです。


 土曜という日について、俺の脳内ではイコール休日という方程式が完成していた。
 もともと一人暮らし。誰が邪魔をするわけでもない。
 締め切りギリギリの課題を連日連夜の徹夜で完成させ(もはや人らしい生活なんて望めたものではない)、ただひたすらに与えられた課題に取り組み(その間の記憶なんてないに等しい)(俺の心の友は鉛筆だ)、やっと解放されたかと思ったら不二に電話で呼び出されて朝まで酒飲みにつきあわされた(あいつ以上の酒豪を俺は知らない)(そんなやつに限って女と喧嘩した日に飲みまくる、迷惑なことこの上ない)金曜日。

 そして、今日。朝帰りの酔っ払い男の俺としては、折角の土曜日だからこそ心行くままに睡眠を貪ろうと、下宿専門学校生としては至極当然な考えを抱いていて、誰もそれを咎める権利なんてなかったはずなのに。

「……〜……勘弁してくれ……」
「なに言ってるの、酔っ払い。飲みすぎるからこうなるんでしょ」
「2日酔いじゃねえって……でももうちょっと寝かせてよ」
「駄目です、許しません」

 まだ瞼を閉じていた俺には、もちろん今がどんな顔をしているのかなんて想像もつかなかったけれど。
 ただ耳に飛び込んでくるその声は、瞼の向こうに注ぎ込んできているだろう窓からの光と同様に、まだ酒を消化しきれていない俺にはきつすぎた。頭はがんがん痛むわ目はちかちかして開けられないわで(絶対がわざとカーテン開けたんだ)、そして俺はそのまま。

「うわっ! なにすんだよ!」
「ほら、早くどいて。全部洗うんだから」
「いいって、自分でやるから……! だから寝かせてくれって!」
「駄目だって言ってるでしょ!」

 まるでなにかのコントかのように、安息の地・ベッドから落とされた。
 寝起きの俺と、準備万端で乗り込んできたとではもちろん力勝負の勝者なんて決まっている。俺は抵抗むなしく抱きついていたタオルケットも、白いシーツも、パジャマ代わりのTシャツも全部剥ぎ取られ、部屋の主という肩書きも台無しな勢いのこの展開についていくことすらできなかった。

「洗濯日和なの。ごめんね英二」

 がよそ行き用の笑顔を浮かべたかと思えば、そのまま頬にキスをされる。突然やってきたその感触に、寝起きの俺がなにかを言い返せるはずもなく。
 シーツとTシャツ、そして今朝俺が帰ってきた時に脱ぎ散らかしてあった昨日の服を抱えては洗濯機の方へと姿を消した。敷布団だけになったベッドの上、そしてセクハラだと訴えてもいいんじゃないかと思えるぐらいに勝手に脱がされて上半身裸のまま、俺はキスされた右頬をおさえて呆然としたままで。

「……土曜日だって」

 そんな台詞しか吐けなかった。





 高校を卒業した後、俺たちはそれぞれの道に進んだ。
 俺は淑徳を卒業して専門学校へ、そしては青学高等部を卒業して国立大学へ。

 テニスで食っていけたのは同級生の中では手塚だけで、少なからずその展開を望みつつも結局俺は(もちろんテニスは好きなままだけど)志望していた建築系の専門学校に合格、入学したのが2年前。今は建築工学科の3年生で、今年はついに卒業を迎える。
 既に家を出ていた上の兄を見習って、俺も自活しつつの下宿生活を送っている。もちろん学費はまだ親に払ってもらっていたけど、奨学金のおかげでなんとか月の仕送りは家賃の一部にあてる2万で留まっていた。生活費は全部自分持ちだから、正直な話学生生活よりもバイトの方が忙しいというのが現状だったけれど。

 はもともと目指していた国立大に現役合格して(相当勉強したらしい)、家から通学している。俺たちは進路がまったくかみ合わないせいで高校の時よりも、無論中学の時よりも互いの距離は離れてしまっていたけれど、真っ先にこの部屋の合鍵を渡した相手がで、そのが合鍵をこともなげに受け取りつつも嬉しさを隠しきれていなかったあの時を思い出せば、気に病むものはそんなにはなかった。

 そんな生活も、今年で3年目。勝手知ったる俺の家で、は土曜の朝からため息をついた。

「英二、なんて生活してるのよ……」
「え?」

 その声に振り返れば、無事洗濯機を稼動させたが冷蔵庫の前で絶句している。
 俺はベッドの宮においてあったペットボトルの蓋を片手で開けながら、冷蔵庫を見つめる。
 ……ここしばらくは飲み物を取り出す以外はさして頼りとしていなかった、その冷蔵庫の中身がいかにひもじい内容になっていたのかを思い出すまで。そうそう時間はかからなかったけれど。

「……ああ、そういえばこの前買い物に行ったのって……先週だったかな」
「先週?! 今日はもう土曜日だよ……? 今週はなにを食べてたの、一体」
「カップラーメン。あそこのスーパー安いんだ、いつも。98円セールが多い」
「……」
「あ、それか不二におごらせる。大石とタカさんは時々恵んでくれる」
「…………」

 の眉間の皺がすさまじいことになっていったが、まあ事実は事実なので俺は弁明もしなかった。ただ黙ってアクエリアスを飲めば、生温いなりに喉には優しい。
 でもそんな沈黙は、のお気には召さなかったようで。俺は刺すような視線が痛い沈黙の中、小さく「すみません」と右手を上げて降伏した。はまたため息をつく。

「あれだけ自炊してって言ってるのに」
「無理だって、俺今週課題たくさんあったし」
「カップラーメンばっかりじゃ身体壊すでしょ。どうしていつも英二は麺類にばっかり逃げるの、中学の頃から全然変わってないじゃない」
「(……昔から怒ることとか叱ることは妙に似合うんだよな、それこそ中学の頃から変わってないし。というかなんか覚えがあるし、こんなシーン)」
「なにか言った?」
「いや、なにも」

 小姑よろしくなの視線に俺はふいっと目を逸らし、空になったペットボトルをもって立ち上がり、おもいきり伸びをした。それだけで「早く服着て!」と怒られたのは甚だ心外だった。……いや、脱がしたのはだから。俺セクハラされかけた方だから。
 なんとなく不条理な思いを抱きつつ、それでも俺は素直にTシャツを選んで着て、下がジャージなのもそのままで冷蔵庫前で悩むの横に立つ。分かりきっていたこととはいえ、いざ見てみるとそこには本当に何もない。あるとすれば残りわずかなケチャップとかからしとかわさびとか(不二が勝手に置いていった)(俺の家は大石たちも集まってよく鍋会の会場になるがゆえに)、そんな料理の引き立て役ばかり。
 怒られても仕方ないか、と思いながら空になったペットボトルをシンクに捨て置き、俺は後ろからに抱きついてから会話を振る。

「なに、ご飯作ってくれるの?」
「作りたくてもできないよ、これじゃ」
「そりゃそうだ。あー、だったらもう外で食べようよ、俺車だすし」

 その一言に、がそっと見上げる視線を向けてくる。なに、と問いかければ俺の腕の中で小首を傾げてみせた。

「節約生活してたんじゃないの?」
「いいよ。どうせ買い物行くんだし、ついで。あ、でも高いもんは期待すんなよ?」
「私が英二のお財布をあてにしたことがあった?」
「……ないけどさ」
「いいよ、今日は私おごるよ。課題終わったんでしょ?」

 さっきまで角を出していた小姑はどこへやら、悩みのひとつが解決したおかげかはあっさり了解した。自分を束縛する腕をほどこうとするでもなく、単に喜んで笑顔を向ける。

「英二の車乗るの久しぶりだね、ちょっと嬉しいかも」

 そして、頬を綻ばせてそう言った。俺の腕にそっとその五指を添えて。
 俺はしばらく黙っていたけれど、ただ笑い返してその身体をもう一度抱きしめた。

 お世辞にも会話のひとつひとつを意識するような年頃ではなかった。おはようとかバイバイとか、そんな他愛ない挨拶ひとつに心臓を過剰反応させていた昔とは違って、今となっては会話はおろか抱きつくことですら多少の変化もないような気がする。
 ただそれでも、相変わらずこうして抱きしめてしまうのは、俺の本能みたいなものがこれを心地よいものだと感じているからなのだろうけど。
 恋愛感情に直結した言葉を口にすることは、この年になるとちょっと恥ずかしい。そんなふうに思うようになるほどの時間は確かに流れているのに、もう慣れて(下手をすれば飽きて)もいいはずなのに、それでもやっぱり俺のこの感覚は衰えない。

 なんだろうな、分からないけれどそれでも俺はこの温もりが大事なんだよな。
 そんなことをぼんやりと思っていると、の手が軽く俺の腕を叩いてきた。

「ちょっと待ってて。洗濯物と掃除だけは午前中に片付けちゃいたいから」
「ああ、うん。……ていうか自分でやるよ、それぐらい」
「いいよ、昨日まで忙しかったんでしょ? 寝てたのに起こしてごめんね、でも今日、すごくいい天気だから」

 そう言うと、は笑って俺の腕の中からするりと抜けて部屋の中へと戻った。冷蔵庫前に残された俺はひとり、その背中を見送って頭をかく。
 それは、先ほどまで無理矢理叩き起そうとしていた俺の彼女からは到底想像できない優しい台詞。ただそれは嘘でも作り物でもないことを、俺が一番よく知っている。
 聞きなれた声。聞きなれた対応。それらは全部、中学の時から続いているものだ。
 それらに逐一反応してはしゃぎ、喜ぶほど、俺たちの付き合いは浅いものじゃない。今更ながらに過剰反応するほど、俺も子どもじゃない。
 でも、それは言い換えれば。

(慣れて飽きるよりも先に、大切だって気づくようになったんだよな。それって結構大きくないか? つーことはあれか、俺も大人になったってことか?)

 そんな言い方ができるものなのかもしれない、なんて。
 いつからだろう、思い始めて久しいその感覚に再び襲われて俺はしばらく沈黙を見送った後、の背中に声をかけた。

「俺もやるよ」
「え? いいよ、私このために来たんだから」
「いいって。もう目覚めたし、ひとりで座ってるのも落ち着かないし」

 出会った頃より大きくなっているはずなのに、その背中はやっぱり小さい。
 そんなことを思いながら俺も部屋の中に戻り、昨日の製図に使っていた資料をまとめる。は最初俺を止めようとしたけれど、しばらくしてから困ったように笑って、そのままにしてくれた。俺たちは意味のないような会話をしながら、時には笑いながら掃除をした。

「あー、私中華が食べたいなあ」
「なに、ダイエットしてなかったっけ?」
「今日はお休み」
「その台詞を何度聞いたことか」
「うるさいなあ……なによ、この前までしなくていいって言ってたくせに」
「男は肉のつき方にはこだわりがあるからなあ。余計なところまで落とさなくていい!」
「……」

 いつからこれが「日常」になったのかなんて、そんな昔なことはもう分からなかった。
 ただ用事がない限り、大抵土曜日にはがこうしてこっちにやってきて、俺に構うことなく家事をする。不二には「半同棲みたいなものだよね」と言われたけれど、そんな大きな話じゃない。なぜなら別に束縛し合ってこの関係を作っているわけじゃないんだ、俺たちは。
 俺たちは付き合いだした頃は同じ学校にいて、同じ学年同じクラスで、会おうと思えばいつでも会える距離で毎日の時間というものを過ごしてきた。少なくともその点に関しては不自由は少ない方だった。
 けれど、高校とその先だけはさすがにそうはいかなかった。もちろん一緒にいられなくなって寂しいという、不安を煽る感情があったことは事実だった。お互い口に出さなくてもそれを思わないことはなかったと思う。

 ただ、その時に流れていた時間が少なからず俺たちを大人にさせたことは、間違いない。
 だからそう、この瞬間も。いつのまにか土曜日という日は、お互いが暗黙の了解のうちにバイトを入れない、自由な休みの日にするようになっていたという、ただそれだけの話。それだけの話なんだけれど。

「この洗濯物、いつ干したやつ?」
「……いつだろう」
「……悩まないでよ、干した本人が」
「多分水曜。ニュースで手塚を見た日だから、うん多分水曜」
「どういう覚え方よ、それ。ならもうたたんじゃうからね」
「あーうん、頼む。いやー、でも手塚すごかったんだって。相変わらずにこりともしてなかったけどさ。せめてインタビューの時ぐらいファンサービスしろって俺は突っ込んだよ、思わず」
「そこが手塚くんのいいところじゃない」
「……」
「……なに?」
「……いや、別に」
「ちょ、ちょっと! なに本気にしてるのよ!」
「べっつにー」

 時間は、この他愛ない瞬間の大切さを理解させるぐらいには、俺を大人にしてくれた。
 そして大人になった俺はようやく、が俺のために時間をあけておいてくれることの当然さよりも、むしろ嬉しさによって作られた感謝の気持ちを抱くようになれるんだ。

「……なに?」
「いや、なんにも」

 黙る俺に、は不思議そうな視線を向ける。当然のように今日も俺の目の前にいてくれる恋人を前に、俺はどうしても頬が緩んでしまうのを止められない。

 条件的に言えば、きっと半同棲なんて簡単にできることだけれど。

 別に焦る理由もせっつく感情もない。なんとなく、なんとなくではあるけれど、言葉で説明するのは難しいけれど、この今の状態が幸せだと思えればそれでいいと思う俺がいる。
 新しいことをするよりも、昔と変わらないものがきちんとあってくれればそれでいい。
 どうしてかな、最近の俺はすごく昔が懐かしくて、の青学時代を思い出すことも少なくはなくて。


「なに?」
「青学の制服、まだ残してある? 中等部でも高等部でも」
「……なにに使う気?」
「え? 使うって、別になんにも。ただあるかなーって聞いた……だけだけど」
「……」
「……、やらしー」
「なっ! 違うでしょ、先に英二が言ったんじゃない!」
「俺そんなこと一言も言ってません」

 でも思い出せば思い出すほど、あの時出会った人が今も俺の前にいてくれることの凄さを実感せずにはいられなくなる。
 からかう俺にが顔を赤くして反論することとか、たったそれだけなのに、でもそれはすぐに昔を思い出させる。思い出してしまうと、俺の頭はすぐに嬉しさに染められた感謝の気持ちを抱くシステムになってしまっている。

 なんだ、とか。ああそうか、とか。呟いたところでにはまっくた意味の分からない言葉を心の中や頭の中で繰り返しながら、俺は思う。

 俺の中には、昔と変わらない感情が今もきちんと生きている。

さん」
「! な、なに。びっくりした」
「そんな時期もあったなあ、と今思い出してみた」
「なにそれ。……あ、シーツの洗濯終わったみたい」

 昔、同じクラスで。同じ空気の中にいたあの時、一緒にいられることになによりの幸せを見つけることができていた、あの時と本当に一緒の感情が今も生きている。
 だから、それがきちんと積み重なって、そのすごさを実感できる年になったからこそ俺はそれに感謝の気持ちをきちんと抱くことができるんだ。時間が流れて、幸せを積み重ねられた分だけそれに感謝の気持ちを添えられるような大人になっていたんだ。
 言ってしまえば、ただそれだけの話。
 でもそれが幸せだと分かることは、きっと、多分、とてもいいこと。なんだと、思う。

(というか、こんなんじゃ俺悟りでも開いたみたいだぞ。いいのかこれで、20歳なのに)

 結論は出ていた。俺にしてはとてもまともな結論が。
 それでも20歳の男としての醍醐味も、少なからず味わいたいと思う心もまた事実。首をひねりながら、欲張りなこの性根をどうしたものかと思っていたその時。

「英二、手伝って!」

 散らかった本や資料を拾っていると、ベランダから響いたそんな声に慌てて振り返る。するとそこには、小さな女の子が無理矢理手を伸ばしている姿。

「これ高すぎるって前から言ってるのに……!」

 洗いたての真っ白のシーツ。高校の頃とそう変わらないの身体は、相変わらずシーツに全て隠れてしまいそうなほどに小さい。いや、女子の中では標準だとわかってはいても、俺が守りたいと思い続けている身体は相変わらず小さく見えて仕方がない。
 手を伸ばして、5月の風にバタバタと揺れるシーツにさらわれそうな身体で必死に背伸びをして。何度も見た光景なのにそれでも何度も嬉しさのあまり苦笑してしまいそうだった。

「だってここは俺の家だし」
「英二がシーツ洗うなんてこと滅多にないじゃない」
「バカ言うなって、洗濯するのに使うだろ?」
「もう少し低くても洗濯物ぐらい干せる!」

 3年目の物干し竿の前で、は今日も変わらぬ怒りをぶつける。俺が手を伸ばしてちょうどいい高さにある物干し竿は、にとっては天敵でしかない。
 苦笑しながらの手からシーツを受け取り、風にはためかせながら空の向こうへと投げる気持ちで俺は物干し竿を有効活用する。すると。

「ずるい」

 頭上から軽々とシーツを干す俺に向かって、は小さく呟く。遮られた青空の前で、俺はあまりにその素振りが相変わらずだったせいで思わずからかい半分で頭を撫でたら、案の定怒られた。

 時が流れる中で、変わるものがある中で変わらないもの。それが今、目の前にある。

 いつも家事をしにきてくれる彼女に感謝を抱くようになって久しい。俺との時間を作ってくれる、その姿勢に嬉しさよりも感謝の思いを抱くようになって、随分と経つ。
 そんな彼女に対して、俺が抱く感情は感謝のひとつだけで済んでいいものなのか。
 感謝の気持ちを素直に抱ける大人になった俺は、今日、ひとつのことを思いつく。悟りを開きかけてしまった落ち着いた大人になりかけていた俺は、大人の特権を行使することを思いつく。

「じゃあ、次はの高さにあわせるよ」

 の目が丸くなる。珍しく、苦笑する俺の意図が読めていないみたいだ。
 なんてことはない、本当に単純なことなのに。いや、ただの願望じみたことでしかないのに。その言葉ひとつを聞いたら、今この子はどんな顔をするんだろう。
 そんなことを思いながら、俺はまだ早いと思ってけして今まで言ってこなかった台詞を。

が俺と結婚した時にね」

 大人の免罪符を借りて、口にした。
 感情を量ることができたとしたら。俺はきっと、鑑定する人もびっくりするぐらいに見た目には合わない幸福と感謝をこの胸の中に持っている。でもそれは、俺個人で培ったものじゃない。そのほとんどが、今横にいる恋人との間でできた感情だ。
 その感情の大きさ、高さ密度に免じて。今の俺の台詞に、真実味を持たせてやってくれと5月の青空に祈れば。

「洗濯が楽になる日を待ってる」

 俺の横で、7年来の恋人は笑ってそう答えてくれた。



05/06/26